COVID-19米「第一波」では、脳卒中関連救急要請が減り死亡者が増えた
Excess Cerebrovascular Mortality in the United States During the COVID-19 Pandemic
背景
COVID-19パンデミックは、各国の救急医療体制に深刻な悪影響を及ぼしている。Yale School of MedicineのSharmaらは、米National Center for Health Statistic等のデータに基づき、同国40州とニューヨーク市におけるパンデミック期間中の脳血管障害(脳卒中)による超過死亡数とそれに影響する因子を解析した。対象期間は2020年1月〜5月である(米非常事態宣言は2020年3月13日発出)。
結論
脳卒中による超過死亡数は、COVID-19感染者が急増するも死亡者数は少なかった2020年3月28日週から5月2日週で上昇し、4月18日週で最高の7.8%に達した。他方、この間脳卒中に関する救急要請・救急外来受診は最大約20%減少した。救急要請コールの減少は、その後1-2週間での脳卒中因超過死亡数と相関した。COVID-19直接死因死亡の調整後、自宅滞在時間の10%の上昇は脳卒中死亡の4.3%上昇をもたらした.
評価
COVID-19 が住民の日常行動だけでなく医療へのアクセス行動にも多大なインパクトを与えたことはよく認知されているが、全貌は未だ明らかではない。ここでのアメリカ「第一波」データは、脳卒中患者が救急受診をためらった事を示唆している。米国では2020年3月〜8月に心血管疾患因死亡が10〜20%増したというHarvard研究があり(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.10.055)、ここでの結果と整合している。他方、最近の全世界的「第二波」以後は、ICUに入れないという問題が浮かび上がっている。


