COVID-19パンデミックで米心血管疾患因死亡が10〜20%増
Cardiovascular Deaths During the COVID-19 Pandemic in the United States
背景
アメリカではCOVID-19パンデミック以後、心血管疾患原因受診・入院が急減したが、死亡率にはどんなインパクトを与えたのか。Harvard Medical SchoolのWadheraらは、National Center for Health Statistics(NCHS)データの後向分析をおこない、米国におけるパンデミック発生後(2020年3月18日〜2020年6月2日)とパンデミック直前の期間(2020年1月1日〜2020年3月17日)の心血管因死亡を評価し、また死亡者数を前年同時期と比較した。
結論
COVID-19直接原因死亡を除外後、前年同期に比し、虚血性心疾患(10万人当たり死亡者数の相対変化率:1.11)・高血圧性疾患(1.17)に起因する人口レベル死亡が全国的に有意に増加した。特にCOVID-19症例の早期急増を経験した州(ニューヨーク市等)での増加は大幅だった(虚血性心疾患2.39、高血圧性疾患2.64)。心不全・脳血管疾患・その他循環器疾患による死亡率に有意な変化はみられなかった。
評価
COVID-19と心血管疾患の相互作用の問題は重要だが、COVID-19自体が血栓症を起因する可能性があること、PCR検査陽性者が感染患者の一部しかカバーしていないことにより、解析は困難である。ここでの調査は、COVID-19検査陽性者を除くという簡単な手法で、心血管因死の中等度増を示した。未検査COVID-19患者の存在と、受診抑制・医療崩壊が原因として考えられる(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.11.027)。