COVID-19パンデミックで米心血管疾患因死亡が10〜20%増
Cardiovascular Deaths During the COVID-19 Pandemic in the United States

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
January 2021
77
開始ページ
159

背景

アメリカではCOVID-19パンデミック以後、心血管疾患原因受診・入院が急減したが、死亡率にはどんなインパクトを与えたのか。Harvard Medical SchoolのWadheraらは、National Center for Health Statistics(NCHS)データの後向分析をおこない、米国におけるパンデミック発生後(2020年3月18日〜2020年6月2日)とパンデミック直前の期間(2020年1月1日〜2020年3月17日)の心血管因死亡を評価し、また死亡者数を前年同時期と比較した。

結論

COVID-19直接原因死亡を除外後、前年同期に比し、虚血性心疾患(10万人当たり死亡者数の相対変化率:1.11)・高血圧性疾患(1.17)に起因する人口レベル死亡が全国的に有意に増加した。特にCOVID-19症例の早期急増を経験した州(ニューヨーク市等)での増加は大幅だった(虚血性心疾患2.39、高血圧性疾患2.64)。心不全・脳血管疾患・その他循環器疾患による死亡率に有意な変化はみられなかった。

評価

COVID-19と心血管疾患の相互作用の問題は重要だが、COVID-19自体が血栓症を起因する可能性があること、PCR検査陽性者が感染患者の一部しかカバーしていないことにより、解析は困難である。ここでの調査は、COVID-19検査陽性者を除くという簡単な手法で、心血管因死の中等度増を示した。未検査COVID-19患者の存在と、受診抑制・医療崩壊が原因として考えられる(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.11.027)。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)