SGLT2阻害薬の2大試験EMPEROR-Reduced・DAPA-HFをメタ解析
SGLT2 inhibitors in patients with heart failure with reduced ejection fraction: a meta-analysis of the EMPEROR-Reduced and DAPA-HF trials
背景
EMPEROR-Reduced・DAPA-HFは、SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン・ダパグリグロジン)によるHFrEF患者の心血管死抑制効果を示した。フランスCentre Hospitalier Regional Universitaire de NancyのZannadらは、これら2試験のメタ解析を行った(n=8,474)。
結論
全死因死亡(HR:0.87)・心血管死(HR:0.86)リスクの低減を認め、心血管死/心不全初回入院の複合リスク(0.74)・心血管死/心不全再入院複合(0.75)・複合腎エンドポイント(0.62)リスクも同様であった。サブグループ解析では、年齢・性別・糖尿病の有無・ARNI併用・ベースラインeGFR・BMI・心不全入院歴で治療効果は一貫していたが、NYHA心機能分類と人種ではサブグループ相互作用がみられた。
評価
SGLT2阻害薬に関する代表的2試験のメタ解析により、心血管イベント抑制効果に加え、腎保護効果を確認するとともに、この効果が糖尿病合併の有無、ARNI併用の有無と関わらないことを示した。HFpEFやCKD患者における心血管死イベントを解析するEMPEROR-Preserved・EMPA-KIDNEYも進行中であり、有効範囲の拡張が期待される。