脳主幹動脈再開通治療は梗塞後けいれんのリスクを上げない
Incidence and Association of Reperfusion Therapies With Poststroke Seizures: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
急性期脳主幹動脈閉塞に対する経静脈血栓溶解(tPA)・機械的血栓除去(MT)は、けいれんリスクを増さないか。Penn State UniversityのLekoubouらは、この問題を扱った25本の論文(n=13,753)の系統レビュー・メタアナリシスを行った。
結論
けいれん発症頻度は全体で5.9%、tPA単独・MT単独・両者併用における頻度は各6.1%・5.9%・5.8%であった。tPA治療を受けた患者のtPA治療を受けていない患者に対するけいれん発生のオッズ比は1.24で、統計的有意差はなかった。
評価
同著者が2017年に発表したメタアナリシスではMTで9.5%の頻度だが、今回の方が症例数が多く信頼度は上がっている(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28872451/)。中国の10万例分析では全脳卒中後のけいれん発生頻度は6.93%で、再開通治療が脳梗塞後けいれんの頻度を増さないことは確からしい。ただし、このメタアナリシスでも、梗塞巣の出血化と皮質領域を含む梗塞巣ではけいれんのオッズ上昇を認めている。