鉄過剰は動脈硬化を促進する:論争的仮説に新エビデンス
Atherosclerosis is aggravated by iron overload and ameliorated by dietary and pharmacological iron restriction
背景
鉄過剰が動脈硬化促進的であるという仮説があるが、論争的である。ドイツUniversity of HeidelbergのVinchiらは、血清非トランスフェリン結合鉄(NTBI)高値を呈する粥状硬化マウスモデル(ApoE-/- FPNwt/C326S)を作成してこの仮説を検証した(対照:ApoE-/-マウス)。
結論
ApoE-/-マウスに比し、ApoE-/- FPNwt/C326Sマウスでは鉄剤投与時に動脈硬化進行が見られた。動脈中膜への鉄蓄積は、プラーク形成・血管酸化ストレス・機能不全と関連していた。鉄制限食や鉄キレート療法で、ApoE-/- FPNwt/C326Sマウスの動脈硬化進行は顕著に改善された。
評価
閉経前女性で動脈硬化が進行しにくい、という現象と関連付けられたこともある(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12595829/)興味深い論争的仮説で、疫学的には関連がない、とした古典的研究さえある(https://academic.oup.com/aje/article-abstract/141/8/719/108512)。著者らは、このレベルでの動物実験は初めてである、としてこの仮説をプロモートしている。