鉄過剰は動脈硬化を促進する:論争的仮説に新エビデンス
Atherosclerosis is aggravated by iron overload and ameliorated by dietary and pharmacological iron restriction

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
European Heart Journal
年月
July 2020
41
開始ページ
2681

背景

鉄過剰が動脈硬化促進的であるという仮説があるが、論争的である。ドイツUniversity of HeidelbergのVinchiらは、血清非トランスフェリン結合鉄(NTBI)高値を呈する粥状硬化マウスモデル(ApoE-/- FPNwt/C326S)を作成してこの仮説を検証した(対照:ApoE-/-マウス)。

結論

ApoE-/-マウスに比し、ApoE-/- FPNwt/C326Sマウスでは鉄剤投与時に動脈硬化進行が見られた。動脈中膜への鉄蓄積は、プラーク形成・血管酸化ストレス・機能不全と関連していた。鉄制限食や鉄キレート療法で、ApoE-/- FPNwt/C326Sマウスの動脈硬化進行は顕著に改善された。

評価

閉経前女性で動脈硬化が進行しにくい、という現象と関連付けられたこともある(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12595829/)興味深い論争的仮説で、疫学的には関連がない、とした古典的研究さえある(https://academic.oup.com/aje/article-abstract/141/8/719/108512)。著者らは、このレベルでの動物実験は初めてである、としてこの仮説をプロモートしている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)