脊髄損傷の早期血圧管理、85-90 mmHg以上は有害無益か
Early Blood Pressure Targets in Acute Spinal Cord Injury: A Randomized Clinical Trial
背景
脊髄損傷の早期管理においては、虚血などによる二次的損傷を避けるため、低血圧の予防が推奨されており、長期的な神経学的・機能的アウトカムの改善がもたらされると考えられてきたが、ランダム化試験で検討されたことはない。
アメリカDuke University School of MedicineのSajdeyaらは、アメリカ脳神経外科学会・脳神経外科コングレスが推奨する血圧管理療法が急性脊髄損傷患者の神経学的アウトカムを改善するかを検討するため、全米13ヵ所の大規模外傷センターの成人脊髄損傷患者に対し、7日間の強化血圧管理療法(平均血圧>85-90 mmHg)または従来治療(>65-70 mmHg)を割り付け、ASIA機能障害尺度の運動・感覚機能の変化を比較する多施設RCTを実施した(n=92)。
結論
6ヵ月時点で38名の患者がフォローアップを完了し、15名が死亡した。
強化血圧管理療法群および従来治療群の生存者において、上肢運動スコア、下肢運動スコア、総感覚スコアのベースラインからの変化に有意差は認められなかった。
血圧管理療法群では、3日目・6日目の平均mSOFAスコアが高く、人工呼吸器装着期間が長く、呼吸器合併症が増加した。死亡率を含め、その他の二次アウトカムに差はなかった。
評価
強化血圧管理療法が、長期的な運動・感覚スコアを改善することはなく、かえって臓器不全や呼吸器合併症の増加が引き起こされた。ただしこの試験では、対照となる従来治療群でも概ね80 mmHg以上が維持されており、真の差が現れ、難かった可能性はある。
サンプルサイズが小さいこと、フォローアップ脱落が多いこともあって決定的な結果とは言えないものの、従来治療群の>80 mmHgを超えて、さらなる昇圧を目指すことに疑義を呈するデータである。


