サルコメアタンパク遺伝子変異キャリアの何%が実際にHCMを発症するか
Penetrance of Hypertrophic Cardiomyopathy in Sarcomere Protein Mutation Carriers
背景
肥大型心筋症(HCM)発生には諸種のサルコメアタンパク質(SP)遺伝子変異が関連するが、SPバリアントキャリアの何%が実際にHCM発症に至るのか。英St. Bartholomew's HospitalのLorenziniらは、156家族285人の成人・小児SPバリアントキャリアの後向分析結果を報告している。
結論
特定された原因遺伝子は頻度順に、MYBPC3・MYH7・TNNI3・TNNT2・TPM1・MYL2・ACTC1で、複数変異は1.4%であった。追跡期間中央値8.0年で、30.2%がHCMを発症し、15年推定HCM浸透率としては46%となった。CMR階層化年齢調整多変量モデルでは、HCM発生の独立予測因子は男性(HR:2.91)・心電図異常(HR:4.02)であった。発症リスクはTNNI3バリアントが最低だった。
評価
単純な基本指標だが、初めての確認のようである。遺伝子スクリーニングで発見された場合15年以内に40%が発症し、ECG異常のある男性が高リスクである、という分かりやすい情報となった。診断はCMRによっている。


