膀胱内に低用量ゲムシタビンを送達する新デバイス、TAR-200で良好な完全奏効率:第2相SunRISe-1試験
TAR-200 for Bacillus Calmette-Guérin-Unresponsive High-Risk Non-Muscle-Invasive Bladder Cancer: Results From the Phase IIb SunRISe-1 Study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
November 2025
43
開始ページ
3578

背景

高リスクの非筋層浸潤性膀胱がん(NMIBC)に対しては通常、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)膀注が行われるが、かなりの数の患者がBCG不応性(BCG-unresponsive)となる。BCG不応性NMIBCに対しては膀胱全摘が推奨治療となるが、不適格・拒否の患者も多く、有効な膀胱温存治療がアンメット・ニーズとして残されている。
アメリカUniversity of Southern California Norris Comprehensive Cancer CenterのDaneshmandらは、BCG不応性の上皮内がん患者に対して、膀胱内薬剤放出システムTAR-200を用いたゲムシタビン送達と抗PD-1抗体薬cetrelimabの併用(C1コホート, n=53)、TAR-200単独(C2コホート, n=85)、cetrelimab単独(C3コホート, n=28)のいずれか、さらにBCG不応性かつ高リスク乳頭状病変の患者ではTAR-200単独(C4コホート, n=52)による治療を行い、完全奏効率(C1-3)および無病生存率(C4)を評価する第2b相並行コホート試験を実施した。

結論

C2コホートの完全奏効率は82.4%、奏効持続期間は25.8ヵ月となった。C1コホート(cetrelimab併用)での完全奏効率は67.9%、C3コホート(cetrelimab単剤)では46.4%であった。
C4コホートでの6ヵ月/9ヵ月/12ヵ月無病生存率は、それぞれ85.3%、81.1%、70.2%となった。
C1コホートではグレード3以上の治療関連有害事象の発生率が37.7%と高く、重篤な治療関連有害事象についても15.1%で発生した。治療関連死亡はなかった。

評価

膀胱内に留置することで、3週間にわたって安定した濃度のゲムシタビン曝露を行える新デバイスで、この試験では単独使用でも高率かつ持続的な完全奏効をもたらした。奏効率はcetrelimab単独、あるいはペムブロリズマブなどでの過去データと比較してもかなり高い。
第3相試験として、すでにSunRISe-2試験(NCT04658862)やSunRISe-5試験(NCT06211764)のほか、BCG未治療患者でのSunRISe-3試験(NCT05714202)も行われている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)