進行した褐色細胞腫・パラガングリオーマでベルズチファンが有望:LITESPARK-015試験
Belzutifan for Advanced Pheochromocytoma or Paraganglioma
背景
褐色細胞腫・パラガングリオーマ(pheochro-mocytoma/paraganglioma: PPGL)は、副腎髄質あるいは副腎以外の傍神経節から発生する、過剰なカテコラミン分泌を主症状とする非常に稀な腫瘍であり、限局例では切除が第一選択となるが、転移例での5年生存率は60%ほどで、切除不能なPPGLに対する標準治療はない。
アメリカUniversity of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJimenezら(LITESPARK-015)は、手術・根治的治療の適応がない局所進行・転移性PPGL患者を対象に、HIF-2α阻害薬ベルズチファンを投与し、客観的奏効率を評価する第2相国際共同試験を実施した。
結論
追跡期間30.2ヵ月(中央値)で、26%の患者に客観的奏効が認められ、85%が病勢コントロールを得た。奏効持続期間は20.4ヵ月、無増悪生存期間は22.3ヵ月であった(いずれも中央値)。24ヵ月生存率は76%であった。
降圧剤を服用していた患者(n=60)のうち32%は、ベルズチファン投与後6ヵ月以上にわたって、降圧剤の投与量を半量以下とすることが可能であった。
治療関連有害事象は99%に発生し、このうちグレード3の貧血が22%で発生した。また、11%には治療関連の重篤有害事象が認められた。
評価
ベルズチファンはVHL病関連がんなどに対して承認された経口HIF-2α阻害薬で、この試験では進行したPPGLに対して有望な抗腫瘍活性を示した。
この結果に基づき、PPGLに対する全身薬物療法としては初のFDA承認を受けており、主要オプションの一つとなるだろう。


