多臓器不全スコアSOFAが30年ぶりにアップデート
Development and Validation of the Sequential Organ Failure Assessment (SOFA)-2 Score

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
October 2025
Onlin first
開始ページ
Onlin first

背景

Sequential Organ Failure Assessment(SOFA)は、90年代に敗血症の臓器機能・臓器不全を評価するために開発され(そのため当初は"Sepsis-related")、その後、重症患者一般の評価に拡張されたスコアリングシステムである。2016年の敗血症の新しい定義、Sepsis-3にも採用されるなど臨床・研究の両面で広く用いられてきたが、現在の集中医療との乖離、予後予測精度の限界なども無視できないものとなっており、現代化の必要が指摘されてきた。
スペインInstitut de Recerca Sant PauのRanzaniらは、現代の集中治療室(ICU)環境に適合し、グローバルに一般化可能な臓器不全スコアを開発するべく、8段階からなる改訂プロジェクトを実施した。
1-5段階目では多国籍の専門家パネルによる修正Delphi法プロセス・システマティックレビューを通じて、8つの臓器系統を対象に含むスコア草稿が作成され(https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.45040)、本論文は、6-8段階目として行われた、草稿の各ドメインについてのデータドリブン検証と最終版スコアを報告したものである。

結論

2014〜2023年に、日本を含む世界9ヵ国1319施設のICUに入室した成人患者のデータを用いた連合分析が実施された。
内部検証コホート(n=2,098,356)と外部検証コホート(n=1,241,114)で、計270,108名(8.1%)がICU死亡した。オリジナルのSOFAスコアと同じ6系統(脳・呼吸器・心血管・肝臓・腎臓・凝固)について、新たな変数・カットオフを導入したSOFA-2は、SOFAよりも高い受信者動作特性曲線下面積(AUROC)を示した(0.79 vs. 0.77)。ICU入室1日目からの連続SOFA-2データは、7日目までその予測妥当性を維持した。
草稿に含まれた消化管ドメイン・免疫ドメインは、予測妥当性・内容妥当性に欠けたため採用されなかった。

評価

世界各地から収集された大規模データに基づき、現代の臓器サポート治療を反映することを目指した改訂SOFAスコアは、外部検証では(劇的とは言えないものの)予測力を改善した。
今後、疾患・地域ごとの外部検証やキャリブレーション、Sepsis-3や臨床アウトカムとしての位置づけの検討、といったステップを経て定着していくことが期待される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)