MI後のLVEF保持患者にβ遮断薬は不要
Beta-Blockers after Myocardial Infarction with Normal Ejection Fraction
背景
心筋梗塞(MI)後のβ遮断薬(BB)療法は長く標準治療とされてきたが、現代的治療法の導入後、左室駆出率(LVEF)50%以上の患者における位置づけは論争的となった。
スペインCentro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos IIIのIbanezらは、MI後LVEF50%以上の患者をBB投与群と非投与群に割り付けた近年の5件(17,801名)のオープンラベル試験(REBOOT・REDUCE-AMI・BETAMI・DANBLOCK・CAPITAL-RCT)を統合するメタアナリシスを実施した。
結論
中央値3.6年の追跡で、BB療法の一次エンドポイント効果を認めなかった(HR 0.97)。全死因死亡のハザード比は1.04、心筋梗塞は0.89、心不全は0.87であった。
評価
全ての代表的RCTの個別患者レベルメタアナリシスにより、MI後LVEF正常患者でBBが不要であることを、ほぼ最終的に確認した。すでに弱い「推奨」となっていた諸ガイドラインを「削除」ないし「不要」とするインパクトをもつ。ただし、当然この結論は、不整脈・高血圧等BBの他適応を持つ患者には適用されない。


