アジア人集団でPCI後最適DAPT期間を大規模検証:HOST-BR試験
Dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention according to bleeding risk (HOST-BR): an open-label, multicentre, randomised clinical trial

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
November 2025
406
開始ページ
2244

背景

PCI後の出血リスクに応じた抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適期間は。
韓国Seoul National UniversityのKimらは、DES-PCIを受けた患者4897名を高出血リスク(HBR)群と非HBR群に層別化し、各群でDAPT期間(HBR群: 1ヵ月 vs. 3ヵ月、非HBR群: 3ヵ月 vs. 12ヵ月)を比較するRCTを行った。
一次エンドポイントは、純有害臨床イベント(NACE)・主要心脳血管イベント(MACCE)・ランダム化後1年におけるあらゆる非外科的出血であった。

結論

非HBR群では、NACEおよびMACCEに関して3ヵ月DAPTが12ヵ月DAPTに非劣性で、非外科的出血(7.4% vs. 11.7%、HR 0.63)に関して優越した。
HBR群では、1ヵ月DAPTと3ヵ月DAPTの比較では、NACEについて非劣性に達しなかった。MACCEは、1ヵ月DAPT群で9.8%、3ヵ月DAPT群で5.8%に発生した。1ヵ月群では13.8%、3ヵ月群では15.8%に非外科的出血があった。

評価

結論は、DAPTは非HBRでは3ヵ月がよく、HBRで1ヵ月への短縮には大きなメリットはない、ということである。出血リスクで患者を層別化する現在の諸ガイドラインの方針・傾向と合致しつつ、非HBRでの3ヵ月への短縮の積極的推奨を支持するエビデンスを提出した。特に、アジア人におけるDAPTの最適化問題に貢献するが、日本・中国の施設は試験に参加していない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)