再発・転移上咽頭がんの三次治療に新規抗体薬物複合体Izalontamab brengitecanが登場
Izalontamab brengitecan, an EGFR and HER3 bispecific antibody-drug conjugate, versus chemotherapy in heavily pretreated recurrent or metastatic nasopharyngeal carcinoma: a multicentre, randomised, open-label, phase 3 study in China
背景
再発・遠隔転移した上咽頭がんに対しては化学療法、抗PD-1/PD-L1抗体が行われるが、さらに病勢進行となった場合の治療はアンメットニーズとして残されている。
中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのYangらは、同国55施設で、プラチナ製剤とPD-1/PD-L1阻害薬を含む2ライン以上の薬物療法後に進行をみた、75歳未満の再発・転移上咽頭がん患者に対して、izalontamab brengitecan静注、または化学療法を割り付け、客観的奏効率および全生存率について比較する第3相RCTを実施した(n=386)。
Izalontamab brengitecan(iza-bren; 開発コードBL-B01D1)は、EGFR(HER1)・HER3を標的とする二重特異性抗体に、トポイソメラーゼI阻害薬Ed-04をペイロードとして結合した抗体薬物複合体である。
結論
中央判定による客観的奏効率は、iza-bren群で54.6%、化学療法群で27.0%であった。全生存データについては、データ・カットオフ時点でimmatureであった。
グレード3以上の治療関連有害事象は、iza-bren群の80%、化学療法群の62%に発生した。Iza-bren群で多くみられたものとしては、貧血(50% vs. 10%)、白血球減少(43% vs. 44%)、血小板減少(43% vs. 7%)、好中球減少(38% vs. 41%)があった。重篤な治療関連有害事象は、iza-bren群の43%、化学療法群の27%に発生した。Iza-bren群では4名(2%)が治療に関連して死亡した。
評価
複数の治療歴を有する再発・転移上咽頭がん患者において、iza-brenは奏効率を向上させ、無増悪生存期間についても改善が認められた。この集団に対する新たな標準治療となりうる。
Iza-brenは、ほかに肺がんや尿路上皮がんでも検証が進められている。


