筋層非浸潤性膀胱がんでのTURBT後BCG療法にデュルバルマブが追加:POTOMAC試験
Durvalumab in combination with BCG for BCG-naive, high-risk, non-muscle-invasive bladder cancer (POTOMAC): final analysis of a randomised, open-label, phase 3 trial

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
November 2025
406
開始ページ
2221

背景

筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)患者に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は再発率が高く、中・高リスク患者では膀胱内注入BCG療法が実施されるが、なお再発・進行リスクが残る。
ドイツCharité Universitätsmedizin BerlinのDe Santisら(POTOMAC)は、世界12ヵ国の、BCG療法歴のない高リスクNMIBC患者のTURBT後治療として、デュルバルマブ静注と膀胱内注入BCG導入(6週間)/維持(3/6/12/18/24ヵ月時点)療法、デュルバルマブ+BCG導入療法、BCG導入/維持療法のいずれかを1:1:1で割り付け、無病生存率を比較する第3相RCTを実施した(n=1,018)。

結論

無病生存イベントは、デュルバルマブ+BCG導入/維持療法群の20%、BCG導入/維持療法群の29%で認められた(ハザード比 0.68)。
グレード3・4の治療関連有害事象は、デュルバルマブ+BCG導入/維持療法群の21%、デュルバルマブ+BCG導入療法群の15%、BCG導入/維持療法群の4%で発生した。治療関連有害事象による死亡はなかった。

評価

高リスクNMIBCのBCG療法に1年間のデュルバルマブを追加することで、無病生存率が有意に改善した。日本も参加した試験であり、この結果に基づき新たな標準治療となると思われる。
同じセッティングでは、CREST試験のsasanlimabが有効(https://doi.org/10.1038/s41591-025-03738-z)、ALBAN試験のアテゾリズマブが無効結果となっているが(https://doi.org/10.1016/j.annonc.2025.09.017)、他の免疫チェックポイント阻害薬でも検証が進んでいる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)