腎代替療法の頻度を減らすとAKI患者の腎機能回復が早まる:LIBERATE-D試験
A Conservative Dialysis Strategy and Kidney Function Recovery in Dialysis-Requiring Acute Kidney Injury: The Liberation From Acute Dialysis (LIBERATE-D) Randomized Clinical Trial
背景
腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)が必要となる重症急性腎障害(dialysis-requiring AKI:AKI-D)患者の死亡率は高く、死亡に至らなかった場合でも透析依存リスクが残される。過去10年に発表されたAKIKI試験、IDEAL-ICU試験、STARRT-AKI試験などによって、重症AKI患者における早期のRRT開始の有効性は否定されたが、RRTの頻度や出口タイミングについての検証はこれまで行われてこなかった。
アメリカUniversity of California San FranciscoのLiuら(LIBERATE-D)は、同国4施設で、すでにRRTを開始しており、血行動態の安定したAKI-D患者を、設定された適応(AEIOU)を満たした場合のみ血液透析を行う保守的透析群、または標準的な週3回の血液透析を行う従来透析群へと割り付け、退院時の腎機能回復率を比較するRCTを実施した(n=220)。
腎機能の回復は、生存し、かつ14日間連続でRRTを受けていない状態と定義された。
結論
ベースラインの推定糸球体濾過量(eGFR)は平均64.8 mL/分/1.73 m2であった。また、ランダム化の中央値9日前にRRTが開始されていた。
退院時の腎機能回復率は、保守的透析群で64%、従来透析群で50%であった(未調整オッズ比 1.76, 有意; 調整後オッズ比 1.56, 非有意)。
保守的透析群では週あたりの透析回数が少なく(中央値1.8回 vs. 3.1回)、28日目までの透析不要連続日数も長かった(21日 vs. 5日)。また、保守的透析群では透析関連低血圧の発生が少なかった(69件 vs. 97件)。
評価
現在の標準的な血液透析の頻度が、腎機能の回復の徴候を覆い隠したり、むしろ回復を遅延・阻害しているのではないか、という示唆に基づく検証で、適応を満たした時のみの保守的な透析によって腎機能の回復が早まることを実証した。
ただし、一次アウトカムについて臨床変数を調整すると結果は有意でなくなっており、堅牢な結果とは言えない。より大規模な試験によって確証される必要がある。


