毛細血管再充満時間に基づく敗血症性ショックの蘇生戦略は有益:ANDROMEDA-SHOCK-2試験
Personalized Hemodynamic Resuscitation Targeting Capillary Refill Time in Early Septic Shock: The ANDROMEDA-SHOCK-2 Randomized Clinical Trial
背景
敗血症性ショックの早期蘇生戦略にはさらなる最適化の余地があると考えられているが、個別化のための適切な指標は明らかではない。ANDROMEDA-SHOCK試験は、毛細血管再充満時間(capillary refill time: CRT)による組織低灌流の評価が、乳酸値測定に基づく蘇生戦略よりも死亡率を低下させることを示唆した。
チリPontificia Universidad Católica de ChileのHernandezら(ANDROMEDA-SHOCK-2)は、世界19ヵ国86施設で、発症4時間以内の敗血症性ショック患者に対し、CRT目標による個別化血行動態蘇生(CRT-PHR)プロトコルまたは通常ケアを割り付け、28日複合アウトカムの勝率を評価するRCTを実施した(n=1,501)。
一次アウトカムは、階層化複合アウトカム(28日までの全原因死亡>バイタルサポート期間>入院期間)についてのペアワイズ比較の勝敗比(win ratio)とされた。
結論
階層化複合アウトカムに関する勝率は、CRT-PHR群が48.9%、通常ケア群が42.1%であり、勝敗比は1.16であった。
個別アウトカムの勝率は、死亡率についてはCRT-PHR群19.1%、通常ケア群17.8%、バイタルサポート期間については各群26.4%、21.1%、入院期間については3.4%、3.2%であった。
評価
階層化複合アウトカムの勝敗比は、死亡について差がなければバイタルサポート期間を比較、バイタルサポート期間にも差がなければ入院期間、と順次比較を行うことで臨床的な優劣の印象をより良く反映することを目指したデザインである。
早期の敗血症性ショック患者におけるCRT目標プロトコルは、勝敗比で通常ケアに優っており、両群の差に主に寄与したのはバイタルサポート期間の短縮であった。プロトコル全体の意義には留保が必要であるが、導入ハードルの低いCRT測定は標準化につながるかもしれない。


