強化血圧コントロールの利害バランス:6RCTの統合解析
Benefit-harm trade-offs of intensive blood pressure control versus standard blood pressure control on cardiovascular and renal outcomes: an individual participant data analysis of randomised controlled trials
背景
主要ガイドラインは強化血圧コントロールを推奨するが、その全体的な利益・有害事象のバランスは不明瞭で、目標血圧値や患者特性による臨床的純利益の違いも不明であった。
中国First Hospital of China Medical UniversityのSunら(BPRULE)は、6件のRCT(ACCORD BP・SPRINT・ESPRIT・BPROAD・STEP・CRHCP)を参加者レベルで統合解析し、強化血圧コントロールと標準コントロールの利益と有害事象のトレードオフを定量化した(解析対象 80,220名)。
結論
中央値3.2年の追跡期間中、複合心血管疾患アウトカムは、強化血圧コントロール群の5.3%、標準コントロール群の7.1%に発生した(HR 0.76)。
強化血圧コントロールは、標準コントロールと比較して、心血管イベントの絶対リスク1.73%減少(治療必要数[NNT]58名)と、有害事象の絶対リスク1.82%増加(NNH 55名)をもたらした。総合的に見て、強化血圧コントロールは心血管イベントの減少が有害事象の増加を上回り、良好な純利益(裁定後純利益率 1.14)を示すことが確認された。
評価
対象RCT参加者の82.6%がアジア人(圧倒的多数は中国人)という、めずらしいメタアナリシスである。心血管イベントの減少による純利益が、有害事象(腎関連イベントを含む)の増加を上回ることを示して、強化血圧コントロールの推奨を再確認させる結果となった。ただし、重み付け前の有害事象発生リスクはイベント減少ベネフィットを上回っており、特に腎事象に関して監視が必要であることも再確認される。

