急性心筋梗塞後患者にピロリ菌スクリーニング?:HELP-MI SWEDEHEART試験
Helicobacter pylori Screening After Acute Myocardial Infarction: The Cluster Randomized Crossover HELP-MI SWEDEHEART Trial
背景
急性心筋梗塞(MI)後の患者は、抗血栓薬治療により上部消化管出血(UGIB)リスクが増す。H. pylori感染はUGIBの危険因子であるため、MI入院中のH. pyloriルーチンスクリーニングは、UGIB(一次アウトカム)発生率を減少させる可能性がある。
スウェーデンKarolinska InstitutetのHofmannら(HELP-MI SWEDEHEART)は、35病院のMI患者18,466名を対象に、これを検証するクラスターランダム化クロスオーバー試験を実施した。
結論
尿素呼気試験を用いたルーチンなH. pyloriスクリーニングは、UGIBリスクを有意に低減しなかった(発生率比 0.90)が、貧血等出血リスクが高い患者のサブグループでは、スクリーニング介入の効果が示唆された。
評価
MI後のアスピリン使用患者には当然考えられるべき対応だが、大規模RCTによる本格検証は初めてである。全MI患者に対するルーチンH. pyloriスクリーニングは推奨できない、という結論を出したが、スウェーデンというH. pylori感染率が比較的低い集団(23.6%)で行われ、また貧血・腎不全等出血高リスクグループでは、UGIB低減効果が示唆されている。他地域で、またハイリスク患者で有益な検査となる可能性は残っている。

