大腸がんの治癒とは何か?:再発リスクは6年後には0.5%未満に
The Definition of Cure in Colon Cancer: A Pooled Analysis of 15 Randomized Clinical Trials

カテゴリー
がん
ジャーナル名
JAMA Oncology
年月
October 2025
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背景

近年、早期大腸がんの治療成績は改善傾向にあり、何をもって大腸がんの治癒とみなすかの問題は重要性を増している。無再発生存期間、無病生存期間、全生存期間といったエンドポイントは、死亡や二次がんをイベントとして含めるため真の再発を捉えきれないという問題があった。
イタリアIRCCS Ospedale Policlinico San MartinoのPastorinoらは、15件の第3相ランダム化比較試験の患者個別データをプール解析し、II期・III期結腸がんにより根治的切除術と術後補助化学療法を受けた全患者(n=35,213)において長期アウトカムを分析、真の再発発生率が0%に近づく時点を探索した。

結論

患者の54.9%が男性、年齢は平均60.2歳(標準偏差10.8歳)であった。
再発率は6ヵ月から12ヵ月の期間にピークに達し(6.4%)、その後は10年目まで継続的に減少し、6年目以降0.5%を超えることはなかった。再発率は10年目以降増加に転じ、12.5年から13年目には2.0%のピークに達した。ただし、これはMOSAIC試験でのみ認められたパターンで、他の試験では9年目以降、再発は認められなかった。
競合イベント解析では、死亡・二次原発腫瘍という競合リスクによって、高齢患者での再発率を過大に評価することが明らかにされた。また、死亡を競合リスクとした累積再発率は女性患者の方が低かった(ハザード比 0.58)。

評価

多くのRCTを統合した解析により、術後化学療法を受けた早期大腸がん患者の再発率が、6年目以降には0.5%未満まで低下することを明らかにした。
0.5%という閾値は絶対的なものではないが、他の一般的な健康リスクと比べても低く、再発リスクが非常に低いという妥当な安心感を患者にもたらすだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)