小児心臓移植後のエベロリムス併用療法は有望
Everolimus and Low-Dose Tacrolimus After Heart Transplant in Children: A Randomized Clinical Trial
背景
小児心臓移植後の生着率は成人より短く、拒絶反応・移植心冠動脈病変(cardiac allograft vasculopathy: CAV)・慢性腎臓病(CKD)の予防と安全な免疫抑制療法が課題である。
アメリカStanford UniversityのAlmondらは、移植後6ヵ月を経過した小児211名を対象に、新規エベロリムス・低用量タクロリムス併用療法と、従来のタクロリムス・ミコフェノール酸モフェチル(MMF)併用療法を比較するRCTを行った。
一次有効性エンドポイントは、30ヵ月時点のMATE-3スコア(急性細胞性拒絶反応[ACR]・CAV・CKD)、一次安全性エンドポイントは、MATE-3スコアとMATE-6スコア(抗体介在性拒絶反応・感染症・移植後リンパ増殖性疾患[PTLD])であった。
結論
エベロリムスと低用量タクロリムスの併用の一次有効性エンドポイント優越性を認めなかった。安全性は非劣性基準を満たした。また、エベロリムス群は腎機能の改善(12ヵ月時点でのeGFRの平均差 10.5 mL/分/1.73 m2)とサイトメガロウイルス(CMV)感染の低減と関連した(HR 0.50)。
評価
有効性エンドポイントで優越しないが、30ヵ月安全性で非劣性であり、しかも腎機能の改善とCMV感染の低減というメリットがある、という結論である。カルシニューリン阻害薬(CNI)の用量低減により腎毒性を軽減でき、エベロリムスの抗ウイルス作用が全面に出ることを示唆するもので、長期的代替療法として臨床に一定のインパクトを与える、とみられる。

