早期子宮頸がんでセンチネルリンパ節生検が陰性なら骨盤リンパ節郭清は省略可能:PHENIX試験
Sentinel-Lymph-Node Biopsy Alone or with Lymphadenectomy in Cervical Cancer
背景
IA1期(脈管侵襲あり)からIIA1期の早期子宮頸がんにおいては骨盤リンパ節郭清が標準術式の一部として行われてきたが、近年ではセンチネルリンパ節(SLN)生検の利点も報告されている。ただし、十分な検出力を持った試験のデータが限られていることもあり、SLN生検の意義についてのコンセンサスは得られていなかった。
中国Sun Yat-sen University Cancer CenterのTuら(PHENIX)は、IA1期(脈管侵襲あり)からIIA1期の子宮頸がん患者において術中SLN生検を実施し、陰性の患者(PHENIX-Iコホート, n=838)を骨盤リンパ節郭清の非実施(生検のみ群)、または骨盤リンパ節郭清の実施(リンパ節郭清群)へと割り付け、3年無病生存率を比較する第3相非劣性RCTを実施した。
結論
3年無病生存率は、生検のみ群で96.9%、リンパ節郭清群で94.6%と、生検のみの非劣性が示された(信頼区間上限 0.5パーセントポイント)。3年がん特異的生存率は生検のみ群で99.2%、リンパ節郭清群で97.8%であった(ハザード比 0.37)。
生検のみ群では後腹膜リンパ節再発は認められなかったが、リンパ節郭清群では9名(2.2%)に認められた。
また、リンパ管腫(8.3% vs. 22.0%)、リンパ浮腫(5.2% vs. 19.1%)、錯感覚(4.0% vs. 8.4%)、疼痛(2.6% vs. 7.9%)は生検のみ群で減少した。
評価
SNL陰性であった子宮頸がん患者では、骨盤リンパ節郭清の省略は実施に劣らず、合併症も少なかった。郭清省略の標準化を後押しするインパクトの大きな結果である。
特に、リンパ節郭清を省略した方が後腹膜リンパ節再発、がん特異的死亡が少ない傾向にあるというデータは非常に意外であり、著者らはSupplementary Appendixも含めて、この点について掘り下げた考察を行っている。

