主幹動脈閉塞脳卒中の血栓回収後に動注アルテプラーゼで予後改善:PEARL試験
Intra-Arterial Alteplase After Successful Endovascular Reperfusion in Acute Stroke: The PEARL Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
October 2025
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開始ページ
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背景

主幹動脈閉塞(LVO)に起因する急性虚血性脳卒中に対しては機械的血栓回収療法のベネフィットが確立されているが、血栓回収療法によって再開通が認められた場合でも予後は依然として不良である。2022年に発表されたCHOICE試験は、血栓回収後のLVO脳梗塞患者に対する動注アルテプラーゼ療法を評価した試験であったが、パンデミックによる中途終了によりサンプルサイズが十分でない、という制限があった(https://doi.org/10.1001/jama.2022.1645)。
PEARL Investigatorsによって実施されたPEARL試験は、中国の28施設で、発症24時間以内の前方循環系のLVO脳卒中で、血栓回収療法によって再開通に成功した患者を対象として、動注アルテプラーゼ療法(0.225 mg/kg, 最大20 mg)または標準治療を割り付け、90日時点での機能的良好アウトカム(修正ランキンスケール0-1)率を比較する多施設共同RCTである。

結論

機能的良好アウトカム率は、動注アルテプラーゼ群で44.8%、標準治療群で30.2%であった(調整リスク比 1.45)。
36時間以内の症候性頭蓋内出血は、動注アルテプラーゼ群で4.3%、標準治療群で5.0%と差がなかった(0.85)。90日全原因死亡率は動注アルテプラーゼ群で17.1%、標準治療群で11.3%であったが、その差は有意ではなかった。

評価

血栓回収後の動注アルテプラーゼは機能的良好アウトカムの達成を有意に増加させた。点推定で90日死亡率・36時間頭蓋内出血率が上昇している点は気がかりだが、いずれも有意ではなかった。
CHOICE試験の予備的結果と合わせて、動注アルテプラーゼの方向を後押しするデータとなる。同テーマではIAT-TOP試験(NCT05897554)、IA-SUCCESS試験(NCT06768138)も進行中である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)