在宅ケアで南アフリカ農村部の高血圧管理を改善する:IMPACT-BP試験
Home-Based Care for Hypertension in Rural South Africa
背景
途上国での高血圧管理には問題が多いが、在宅高血圧ケアモデルの有効性は。
アメリカMassachusetts General HospitalのSiednerら(IMPACT-BP)は、南アフリカ農村地域の高血圧成人患者774名を、自宅での血圧モニタリング、およびデータ収集・投薬のための地域保健員(CHW)による在宅訪問、モバイルアプリケーションによる看護師主導の遠隔意思決定からなる在宅ケア群(CHW群)、同じ介入であるが、血圧測定器による測定値の自動送信を行う強化在宅ケア群(強化CHW群)、クリニックベースの管理による標準ケア群(標準ケア群)に割り付けるRCTを行った。
一次エンドポイントは、6ヵ月後の収縮期血圧であった。
結論
CHW群と強化CHW群で、標準ケア群と比較して、6ヵ月後の平均収縮期血圧が有意に低下した(標準ケアとの差:CHW群−7.9 mmHg、強化CHW群−9.1 mmHg)。CHW群では高血圧コントロール率も高かった(標準ケア32.5%に対し、CHW群57.4%、強化CHW群61.3%)。介入による収縮期血圧および高血圧コントロールの改善は、12ヵ月時点でも持続し、安全性にも大きな懸念は認められず、ケア継続率も95%を超えた。
評価
中低所得国での血圧コントロールへのチームアプローチにはCOBRA-BPS(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1911965)等先行例があるが、このIMPACT-BPは、有効幅が大きかったことと、モバイルアプリケーションを利用したことに特徴がある。ただし、モバイルアプリの使用は効果を有意に増幅させておらず、直接の人的コミュニケーションの重要性が示されており、興味深い。実装にあたっては費用対効果の問題が大きく、将来の研究課題である。


