長期的減量維持のために「タンパク質希釈(protein dilution)」を避ける:Navigating to a Healthy Weight試験
Dietary Macronutrient Composition and Protein Concentration for Weight Loss Maintenance
背景
初期減量を達成した成人における、長期的な体重減少維持(WLM)のための最適な主要栄養素の構成は。
デンマークUniversity of CopenhagenのHeitmannら(Navigating to a Healthy Weight: NoHoW)は、初期体重減少(5%以上)を達成した1,518名の成人を対象に、食事中の主要栄養素組成と12ヵ月間のWLMとの関連を評価する前向分析を行った。
一次アウトカムは、体重・体脂肪指数(FMI)・ウエスト身長比(WHtR)・ヒップ身長比(HHtR)の12ヵ月間の変化であった。
結論
食事におけるタンパク質からのエネルギーの割合(Protein energy percentage)を維持すること、特に嗜好食品(discretionary foods)の摂取を制限することが、エネルギー摂取量の減少と長期的なWLMの改善に関連した。タンパク質の低濃度は、高脂肪や高炭水化物によって希釈される形で、総エネルギー摂取量増加および12ヵ月間の体重・WHtR・HHtRの増加と関連したが、FMIの増加率とは関連しなかった。嗜好食品の摂取が増加するにつれて、食事におけるタンパク質の割合が低下し、これによりエネルギー摂取量が増加した。
評価
ヒトは他の栄養素よりもタンパク質の摂取量を厳密に制御する傾向があるというプロテインレバレッジ(protein leverage)仮説が存在するが、本研究は、栄養幾何学的手法を用いた前向コホート分析で、プロテインレバレッジが長期的なWLMに影響を及ぼことを示唆した。本研究の結果は、長期的WLMのための食事指導において、「低カロリー」や「低脂肪」といった従来の焦点に加え、「タンパク質希釈(protein dilution)を避ける」「嗜好食品をひかえる」という新たな観点を導入する必要性を示唆する。