経皮的電気神経刺激(TENS)で救急の急性腰痛を軽減する
The use of TENS for the treatment of back pain in the emergency department: A randomized controlled trial
背景
経皮的電気神経刺激(TENS)は、皮膚表面に貼り付けた電極によりAβ線維が刺激されることで脊髄後角内の侵害受容伝達神経の活動が抑制され(ゲートコントロール理論)、脳・脊髄での内因性オピオイドが放出される(内因性オピオイドシステム)、という機序に基づく電気刺激療法であり、急性・慢性疼痛での短期的効果が実証されている。
アメリカRenaissance School of Medicine at Stony Brook UniversityのOtternessらは、中等度以上の腰痛または背痛を呈する救急外来の成人患者を登録し、イブプロフェンに加えて、TENSまたはそのsham治療を割り付け、治療後30分時点での疼痛(verbal numeric scale)の減少を比較するRCTを実施した(n=80)。
結論
患者の平均年齢は46歳、51%が女性であった。
TENS群では治療前の疼痛スコアが平均8.4であったのが、治療後には6.8、対してsham治療群では治療前が8.0、治療後には7.5であった。疼痛スコアの平均減少率はTENS群で1.7、sham治療群では0.5と、TENS群で有意に大きかった。
TENS群ではレスキュー薬投与が少なく(45% vs. 73%)、患者満足度も高かった(78% vs. 50%)。
評価
TENS群で有意に疼痛が軽減され、他の薬剤の使用が減り、患者満足度も上昇することを実証した。
小規模な単施設研究で、効果も臨床的に意味のある最小差(MCID)程度と考えられるが、救急の疼痛管理において、レスキュー薬の使用を抑制できる低リスクな理学療法オプションが存在することには意義がある。