アナフィラキシーをアドレナリン点鼻スプレーで治療する:日本
Epinephrine Nasal Spray Improves Allergic Symptoms in Patients Undergoing Oral Food Challenge, Phase 3 Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice
年月
July 2025
Online first
開始ページ
Online first

背景

重症アレルギーおよびアナフィラキシーに対してはアドレナリン投与の安全性・有効性が確立されているが、患者や介護者による注射という投与方法には抵抗感が強く、不投与や投与遅れにつながっているとみられる。
日本NHO Sagamihara National Hospital(国立病院機構相模原病院)のEbisawaらは、重症アレルギー反応に対するアドレナリン点鼻スプレー(neffy)の有効性を評価するため、食物アレルギーのある小児患者で食物経口負荷試験(OFC)を行い、グレード2以上の臨床症状に対してneffyを投与(15-30 kgの患者では1 mg, 30 kg以上では2 mg)する第3相試験を実施した(n=15)。

結論

OFCにより全員が一つ以上のグレード2アナフィラキシー症状を発現した。
初回の反応の治療としてneffy投与後、さらなるアドレナリン投与を必要とした患者はいなかった。呼吸困難症状を呈した患者にプロカテロールを投与されたほか、計7名が追加の治療を要した。さらに、1名は投与2時間45分で二相性反応を発現し、アドレナリン筋注を受けた。
症状消失までの時間は中央値16分であった。OFC誘発性とみられない有害事象として、3名に振戦、2名に鼻粘膜の紅斑が認められた。

評価

小規模な試験ではあるが、neffyがOFCによるアナフィラキシー症状を効果的に治療可能であることを示した。
注射針に対する恐怖は迅速なアドレナリン投与の心理的障害になっていると考えられており、点鼻スプレーという代替手段の登場は意義深い。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)