新たなER分解薬がESR1変異乳がんに効果示す:VERITAC-2試験
Vepdegestrant, a PROTAC Estrogen Receptor Degrader, in Advanced Breast Cancer
背景
ホルモン受容体陽性HER2陰性の進行乳がん患者に対しては内分泌治療とCDK4/6阻害薬の併用が標準治療とされているが、多くの患者では治療への耐性が生じる。ESR1遺伝子の変異はこの耐性獲得のドライバーとして知られており、複数の次世代エストロゲン受容体(ER)分解薬がESR1変異に特化した有効性を示している。
フランスInstitut de Cancerologie de l'Ouest Angers-NantesのCamponeらは、内分泌治療とCDK4/6阻害薬、各1ライン以上の治療歴を有するER陽性HER2陰性の進行乳がん患者を対象に、タンパク質分解標的キメラ(PROTAC)ER分解薬vepdegestrantの経口投与、またはフルベストラントの筋注を割り付け、ESR1変異患者および全患者での無増悪生存期間を比較する第3相RCTを実施した(n=624)。
結論
ESR1変異を有する患者(n=270)の無増悪生存期間(中央値)は、vepdegestrant群で5.0ヵ月、フルベストラント群で2.1ヵ月であった(ハザード比 0.58)。全患者集団での無増悪生存期間は、vepdegestrant群3.8ヵ月、フルベストラント群3.6ヵ月と有意な差は認められなかった(ハザード比 0.83)。
グレード3以上の有害事象は、vepdegestrant群の23.4%、フルベストラント群の17.6%で発生し、有害事象による治療中止は、それぞれ2.9%、0.7%で発生した。
評価
内分泌治療+CDK4/6阻害薬後の乳がん患者に対するPROTAC分解薬vepdegestrantは、ESR1変異サブグループにおいて有意なPFS延長をもたらした。
同時にNEJM誌に掲載されたSERENA-6試験は、リキッドバイオプシーによりESR1変異をモニタリングし、ESR1出現時点で次世代ER分解薬へとスイッチするという戦略の有効性を示しており(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2502114)、ESR1変異への対応は大きく前進しつつある。