治療抵抗性・難治性高血圧治療に選択的アルドステロン合成酵素阻害薬baxdrostat登場:BaxHTN試験
Efficacy and Safety of Baxdrostat in Uncontrolled and Resistant Hypertension
背景
選択的アルドステロン合成酵素阻害薬(ASI)baxdrostatの、治療抵抗性高血圧・難治性高血圧に対する有効性・安全性は。
イギリスUniversity College LondonのWilliamsら(BaxHTN)は、治療抵抗性高血圧と難治性高血圧の患者796名を対象に、既存の降圧薬へのbaxdrostat追加(12週間)の効果・安全性を検証する第3相RCTを行った(対照:プラセボ)。
一次エンドポイントは、ベースラインから12週目までの座位収縮期血圧の変化であった。
結論
一次エンドポイントはBaxdrostatの一次エンドポイント効果を認めた(対プラセボ補正差: 1 mg群 −8.7 mmHg、2 mg群 −9.8 mmHg)。
高カリウム血症(>5.5 mmol/L)は、実薬群の6.1%〜11.1%、プラセボ群の0.4%に認められた。低ナトリウム血症(<136mmol/L)は、実薬群の19.1%〜の22.8%、プラセボ群の7.0%で報告された。
評価
AstraZenecaの創薬である。ASIではすでにlorundrostatが第3相で成功しており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2501440)、直接の競合となる。Baxdrostatはより選択性が強いが、臨床効果・安全性に関しては直接比較試験が必要である。本試験で示された降圧効果は、心血管イベントリスクの低下に繋がることが先行研究から示唆されており、臨床的に大きな意味を持つ。なお、本試験はランダム化された薬剤離脱期(part 3)を設けており、baxdrostat中止後の血圧が緩やかに上昇する様子を観察している。これは、ASIの効果がナトリウム恒常性に対する作用と一致していることを示唆し、その作用機序を補強する貴重なデータである。