多枝病変NSTEMIにもFFRガイド下完全血行再建術を:SLIM試験
Fractional Flow Reserve?Guided Complete vs Culprit-Only Revascularization in Non?ST-Elevation Myocardial Infarction and Multivessel Disease: The SLIM Randomized Clinical Trial

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2025
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背景

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者における完全血行再建術(CR)の有効性は確立されているが、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者では。
ニュージーランドZuyderland Medical CentreのPustjensら(SLIM)は、多枝病変を有するNSTEMI患者478名を対象に、FFR(冠血流予備量比)ガイド下CRが、責任病変のみの血行再建術と比較して臨床転帰を改善するかを検証した。
一次アウトカムは、1年時点の全死因死亡・非致死性心筋梗塞・血行再建術・脳卒中の複合(MACE)であった。

結論

FFRガイド下CRの一次アウトカム効果を認めた[5.5% vs. 13.6%(HR 0.38)]。この効果は主に再血行再建の減少によってもたらされた(3.0% vs. 11.5%, HR 0.24)。純(net)臨床有害事象(6.3% vs. 15.3%, HR 0.39)リスクも有意に低かった。

評価

重要なテーマに関する初の本格検証である。このテーマでは、すでに最近のメタアナリシスがSTEMIでのFFRガイド下CR戦略の有効性を結論しているが(https://www.frontiersin.org/journals/cardiovascular-medicine/articles/10.3389/fcvm.2025.1509912/full)、NSTEMIをも含めたFULL REVASCは無効としていた(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2314149)。今回の結果は、多枝病変を有するNSTEMI患者において、初回治療でのFFRガイド下CR戦略の有効性を支持する強いエビデンスとなり、ガイドラインにインパクトを与える。制約はオープンラベルであること、死亡・心筋梗塞というハードアウトカムに無効、という点である。探索的解析では非致死性心筋梗塞の有意な減少が示唆されており、長期データが待たれる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)