透析を要する腎不全患者にステロイド型MRAは無益:系統レビューとメタアナリシス
Safety and efficacy of steroidal mineralocorticoid receptor antagonists in patients with kidney failure requiring dialysis: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
背景
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の、透析を要する腎不全患者に対する効果・安全性は。
カナダMcMaster UniversityのWalshらは、2025年3月18日までに発表されたRCTを対象に、この患者集団に対するMRAの有効性と安全性を評価する系統レビューとメタアナリシスを行った。
結論
19件のステロイド型MRA試験(計4,675名)が適格基準を満たした。バイアスのリスクが低い4試験(3,562名)の分析では、MRAは透析を要する患者の心血管疾患(CVD)死亡リスクに対し、ほとんど、あるいは全く効果がないことが示された。MRA群のCVD死は1,785名中264名、対照群は1,777名中276名で、オッズ比は0.98、年間1,000人あたり1件の絶対リスク減少に留まった。
評価
重要な主題だが、16RCTに関する2022のメタアナリシスは、「有効」という矛盾する結論を示していた(https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2022.823530/full)。より最近のRCTまでを含め、バイアス可能性論文を厳しく排除して、MRAがハードアウトカムに影響しないとした今回のメタアナリシスの結論は、より信頼度が高い。ただし、今回のレビューが対象としたのはステロイド型MRAであり、透析患者への非ステロイド型MRAの有効性・安全性は今後の研究課題である。著者らは、アルドステロンがより明確な役割を果たす患者サブグループを同定することが直近の課題である、としている。