血管内治療を受けない発症4.5〜24時間の脳梗塞にはアルテプラーゼが有効:HOPE試験
Alteplase for Acute Ischemic Stroke at 4.5 to 24 Hours: The HOPE Randomized Clinical Trial
背景
発症後4.5時間以内の脳梗塞患者には静注血栓溶解療法が推奨されており、治療ウィンドウを拡張するための検証も続いている。4.5〜24時間の患者を対象としてtenecteplase(多くは血管内治療併用)を検証したTIMELESS試験はネガティブ結果となったが、ほとんどの患者が血管内治療を受けなかったTRACE-III試験では4.5〜24時間でのtenecteplaseによる機能的予後の改善が示されている。
中国The Second Affiliated Hospital of Zhejiang University, School of MedicineのZhouら(HOPE)は、同国26ヵ所の脳卒中センターで、灌流画像で回復可能な脳組織(ペナンブラ)が確認され、血管内治療が予定されていない、発症から4.5時間から24時間の急性虚血性脳卒中患者を、アルテプラーゼ静注(0.9 mg/kg)または標準的内科治療へと割り付け、機能的自立度(修正ランキンスケール0〜1)について比較するRCTを実施した(n=372)。
結論
機能的自立はアルテプラーゼ群の40%、対照群の26%で達成された(調整済みリスク比 1.52, 未調整リスク差 13.98%)。
症候性頭蓋内出血はアルテプラーゼ群の3.8%、対照群の0.51%で発生した(調整済みリスク比 7.34, 未調整リスク差 3.23%)。死亡率は両群とも11%であった。
評価
血管内治療が予定されていない、または適応でない脳梗塞患者において、4.5時間以降24時間までのアルテプラーゼ静注のベネフィットを初めて実証した。
本試験の患者の半数以上は主幹動脈閉塞であり、血管内治療が利用可能な地域ではこれらの患者に対し血管内治療が基本であることに変わりはない。ただ、搬送に長時間を要するなど限られた状況では、4.5時間を超えてアルテプラーゼを使用することに保証を与えるエビデンスとなる。