黄色ブドウ球菌菌血症でのDalbavancinは標準治療に劣らず:DOTS試験
Dalbavancin for Treatment of Staphylococcus aureus Bacteremia: The DOTS Randomized Clinical Trial
背景
Dalbavancinは、長い半減期を持ち週1回の投与で治療が可能なリポグリコペプチド系薬剤で、アメリカ・ヨーロッパではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感受性グラム陽性菌による急性細菌性皮膚・皮膚組織感染症(ABSSSI)について承認されている。
アメリカDuke UniversityのTurnerら(DOTS)は、北米23施設で、初回抗菌薬投与から72時間〜10日以内に血液培養陰性となった複雑性黄色ブドウ球菌菌血症の成人患者に対し、dalbavancin投与(1日目と8日目の計2回)または標準的な静注治療へと割り付けるRCTを実施した(n=200)。
一次アウトカムは、70日時点での臨床的成功、感染性合併症、安全性合併症、死亡率、健康関連QOLの5要素に関する望ましさのランキング、DOOR(Desirability of Outcome Ranking)であった。
結論
84%にあたる167名が70日目まで生存しており、有効性の評価に含まれた。
Dalbavancin群の70日アウトカムが、標準治療より望ましいものである確率は47.7%であった。
副次アウトカムのうち、臨床的有効性については群間差1.0%、95%信頼区間の上限は13.5%であり、dalbavancinの非劣性が認められた。重篤有害事象はdalbavancin群の40名、標準治療群の34名で報告され、治療関連有害事象は両群とも稀であった。
評価
Dalbavancinは標準治療に劣らなかったものの、これに優ることもなかった。
2回の投与で済み、長期間の入院とIVアクセスを必要としない点は重要なメリットであるが、薬価は高額で費用対効果の視点は必須である。なお、日本ではdalbavancinは開発・承認されていない。