多発性骨髄腫の地固め療法をMRDでガイドする:MIDAS試験
Measurable Residual Disease-Guided Therapy in Newly Diagnosed Myeloma
背景
測定可能残存病変(MRD; 微小残存病変とも)は、初発多発性骨髄腫における生存アウトカムの独立予測因子であり、MRDの状態によって自家幹細胞移植(ASCT)のベネフィットにも差があることが示唆されている。
フランスUniversite de ToulouseのPerrotら(MIDAS)は、フランス・ベルギーの72施設で、イサツキシマブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン(Isa-KRd)による導入療法を完了し、移植適応のある初発多発性骨髄腫患者を対象として、MRDステータスに基づく地固め療法の意義を検証する第3相RCTを実施した。
導入療法後、次世代シーケンシングによって評価されたMRDが陰性であった患者(<10-5, n=485)はASCTに加えて2サイクルのIsa-KRd(ASCT群)、または6サイクルのIsa-KRd(ASCT群)へ、MRD陽性の患者(>10-5, n=233)は短期間で二度のASCT(タンデムASCT群)、またはASCTに加えて2サイクルのIsa-KRd(単回ASCT群)へと割り付けられた。
結論
導入療法後にMRD陰性であった患者における維持療法前のMRD陰性(>10-6)率は、ASCT群で86%、Isa-KRd群で84%であった(調整済み相対リスク 1.02)。
導入療法後にMRD陽性であった患者における維持療法前のMRD陰性率は、タンデムASCT群で32%、単回ASCT群で40%であった(調整済み相対リスク 0.82)。ただし、タンデムASCT群の15%は2度目のASCTを受けなかった。
地固め療法中に病勢進行が5名で、病勢進行に関連しない死亡が2名で発生し、これらはIsa-KRd群もしくはタンデムASCT群の患者であった。
評価
Isa-KRd導入療法は高いMRD陰性率を示し、これらの患者ではASCTによる追加の利益は認められなかった。
一部の患者では移植を保留して薬物療法の継続を選択できることを示唆し、MRDガイドによる個別化アプローチを支持する結果である。