小児アナフィラキシー、アドレナリン投与後の経過観察は2時間で十分?
Timing of repeat epinephrine to inform paediatric anaphylaxis observation periods: a retrospective cohort study
背景
アナフィラキシー小児患者では、アドレナリンを投与した後、二相性反応の発生を見逃さないために4〜6時間の経過観察が推奨されている、
アメリカUniversity of Cincinnati College of MedicineのDribinらは、北米31ヵ所の救急外来の電子カルテをもとに、2016年から2019年にかけて急性アレルギー反応を伴い受診し、筋注・皮下注・静注を問わずアドレナリン治療を受けた6ヵ月から17歳の患者を対象とする後向コホート研究を実施し、アドレナリン再投与の累積発生率が2%未満となる経過観察時間の閾値を決定した。
結論
ICD-10-CMコードに基づくアナフィラキシー患者7,717名のうち、5,641名が包含基準を満たした。患者の年齢は中央値7.9歳、43.9%が女児、22.0%がヒスパニック系、78.0%が非ヒスパニック系であった。
4.7%にあたる263名が初回アドレナリン投与から2時間で再投与を受け、109名(1.9%)は4時間、64名(1.1%)は6時間、46名(0.8%)は8時間で再投与を受けた。アドレナリン再投与の累積発生率の上昇が2%未満となる経過観察時間は患者全体で115分、呼吸器・心血管所見のない患者(n=1,070)では105分、心血管所見のない患者(n=4,076)では109分、心血管所見のある患者(n=495)では161分であった。
このことは、本コホートの95.3%が、初回アドレナリン投与から2時間以内に安全に退院可能であったこと、98.1%が4時間以内に安全に退院可能であったことを示唆する。
評価
北米の多施設コホートから、アナフィラキシー小児患者が安全に退院できる観察時間の閾値を決定した。
後向データであり直ちに実戦の変更につながる結果ではないが、多くの患者が今より早い段階で退院可能であることを示唆した点は重要で、今後の検証を動機づける。