セマグルチドの1型糖尿病への展開は有望:ADJUST-T1D試験
Semaglutide in Adults with Type 1 Diabetes and Obesity
背景
GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、2型糖尿病(T2D)と肥満の治療薬として標準化されつつあるが、1型糖尿病(T1D)患者に対する有効性と安全性は。
アメリカIndiana UniversityのShahら(ADJUST-T1D)は、自動インスリン投与(AID)システムを使用するBMI 30以上のT1D成人患者72名を対象に、セマグルチドの有効性・安全性を検証する26週間のRCTを実施した(対照:プラセボ)。
一次複合エンドポイントは、持続血糖測定(CGM)に基づく血糖値 70〜180mg/dlの期間の70%超達成、低血糖時間の4%未満維持、体重5%以上の減少であった。
結論
セマグルチドのプラセボに対する一次複合エンドポイント優位を認めた[36% vs. 0%。セマグルチド群では、HbA1cの平均変化量がー0.3%で、目標血糖範囲内時間が8.8%増加し、体重がー8.8kg減少した]。有害事象は両群で4件報告されたが、セマグルチドとは無関係であり、糖尿病性ケトアシドーシスは発生しなかった。
評価
すでにパイロット研究のある興味深い重要主題で、小規模ながら堅固なRCTにより初めて有益性を示した。T1D・肥満の合併患者の増加とAIDシステムの汎用化で可能となった展開で、有望である。より大規模・長期の検証を目指すOBES1TY(NCT06909006:https://clinicaltrials.gov/study/NCT06909006)が今年中に開始される。