脳出血での強化降圧療法は発症3時間以内で効果: INTERACT試験シリーズのプール解析
Effects of blood pressure lowering in relation to time in acute intracerebral haemorrhage: a pooled analysis of the four INTERACT trials

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Lancet Neurology
年月
July 2025
24
開始ページ
571

背景

INTEnsive blood pressure Reduction/care bundle in Acute Cerebral haemorrhage Trial(INTERACT)シリーズは、急性脳内出血(INTERACT1から3)または脳卒中疑い患者(INTERACT4)を対象に強化降圧療法の効果を検証した臨床試験シリーズである。
オーストラリアUniversity of New South WalesのWangらは、発症6時間以内で血圧上昇のみられる急性脳内出血患者を対象としたINTERACT1試験(n=404)、INTERACT2試験(n=2,829)、INTERACT3試験(n=7,036)、および発症2時間以内で血圧上昇の見られる急性脳卒中疑い患者を対象としたINTERACT4試験(n=1,043)の患者個別データを用い、脳内出血の早期における強化降圧療法の安全性・有効性、さらに介入タイミングの影響を評価するプール解析を実施した。

結論

11,312名が解析に含まれた。1時間後の収縮期血圧(平均)は強化降圧群で149.6 mmHg、ガイドライン治療群で158.8 mmHgであった。
強化降圧療法は身体機能低下(修正ランキンスケール 3-6)のリスクを有意に抑制した(オッズ比 0.85)。また、7日以内の神経学的機能低下(0.76)、死亡(0.83)、重篤有害事象(0.84)のリスクも有意に低下した。
CT撮影を行った患者のサブスタディでは、相対的または絶対的血腫増大に対する強化降圧療の影響は認められなかった。一方で、機能的回復、相対的血腫増大の減少への効果は、ランダム化までの時間の延長に伴って低下し、効果量は3時間で反転した。

評価

INTERACTシリーズの患者個別データの解析から、脳出血の発症直後に開始された強化降圧療法が機能的予後を改善することを確認した。
機能回復と血腫増大への効果に関し、発症3時間以内という治療ウィンドウを示したことは特に重要で、今後の指針となるだろう。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)