鈍的腹部外傷小児で緊急介入リスクが高いのは?
Performance of individual criteria of the Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN) intraabdominal injury prediction rule
背景
Pediatric Emergency Care Applied Research Network(PECARN)は、2013年、小児の鈍的体幹外傷において腹腔内損傷のために急性介入を必要とする(IAIAI)リスクが低い患者を特定するための臨床予測ルールを開発した(https://doi.org/10.1016/j.annemergmed.2012.11.009)。
アメリカUC Davis School of MedicineのArnoldらは、2016年から2018年に6カ所の救急外来で実施された、18歳未満の鈍的体幹外傷患者を対象とした多施設前向研究(N=7,542)の二次解析を行い、PECARNルールの基準のうち、1つまたは2つのみが陽性の患者におけるIAIAIリスクを評価した。
IAIAIは、治療的開腹術、動脈塞栓術、輸血、2泊以上の静脈内輸液と定義された。
結論
登録小児のうち、1つまたは2つのPECARN変数のみが陽性であった児は2,986名(39.6%)であった。
このサブ集団のうちでIAIを呈したのは227名(7.6%)であった。1つのみ陽性の患者(n=1639)では21名(1.3%)、2つ陽性の患者(n=1347)では27名(2.0%)がIAIAIであった。
IAIAIリスクが最も高かった変数は、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)が14未満(5.5%)、腹壁外傷(0.9%)であった。2変数が陽性の場合にIAIAIリスクが高かった変数は、呼吸音減弱(6.8%)、GCS <14(4.8%)であった。
評価
全体としてみれば、PECARN変数が2つ以下の鈍的外傷児における緊急介入リスクは低かった。ただし、GCSスコアが14未満の場合、介入を要する患者が無視できない割合で存在すると考えられ、CTを検討する際の判断材料となりうる。