プレガバリンは高齢患者の心不全リスクを高める:最大の後向コホート研究
Initiation of Pregabalin vs Gabapentin and Development of Heart Failure
背景
プレガバリンとガバペンチンは、慢性疼痛治療に広く用いられる非オピオイド系鎮痛薬であるが、プレガバリンは心不全(HF)リスクを増加させる可能性が指摘されている。
アメリカColumbia UniversityのParkらは、2015〜2018年において、慢性的非がん性疼痛を有し、ガバペンチンまたはプレガバリンを新規使用した65〜89歳のメディケア受給者246,237名を対象に、この2剤のHFリスクを比較する後向コホート研究を実施した。
一次アウトカムは、退院時におけるHFの一次診断を伴う入院または救急外来受診とした。
結論
プレガバリン新規使用患者は、ガバペンチン新規使用患者と比較して、HF入院または救急外来受診の発生率が高かった(1,000人年あたり18.2件 vs. 12.5件、調整ハザード比[AHR] 1.48)。特に、心血管疾患の既往歴がある患者では、プレガバリンによるリスクはさらに高く(AHR 1.85)、外来でのHF診断リスクもプレガバリン群で有意に高かった(1.27)。一方、全死因死亡リスクに群間有意差はなかった。
評価
すでに複数の後向調査が示唆していた結果を、現在まで最大の後向コホート研究でほぼ確定した。Negative control outcome(NCO)解析(股関節骨折)を用いた分析でも、両薬剤間に差がないことが確認され、一次アウトカムの頑健性が支持されている。慢性疼痛を持つ高齢患者へのプレガバリン処方の前には、心血管リスク因子の慎重な検討が必要である。