電話による患者ナビゲーションは便潜血陽性後の精密検査率を高めるか:PRECISE試験
Patient Navigation to Improve Colonoscopy Completion After an Abnormal Stool Test Result : A Randomized Controlled Trial
背景
便潜血検査を利用した大腸がん検診の大きな問題として、便潜血陽性であったにもかかわらず、精密検査に現れない患者の存在がある。この精検の回避は、がんが存在した場合に得られたであろう治療機会を喪失させ、ひいては対策型がん検診の効率低下にもつながる。
アメリカKaiser Permanente Center for Health ResearchのCoronadoら(PRECISE)は、ワシントン州の連邦認定医療施設32ヵ所で、前月に便潜血検査で陽性となった50〜75歳の個人を、バイリンガルによる電話ベースの患者ナビゲーション・プログラム(介入群)または通常ケア(対照群)へと割り付け、1年以内の大腸内視鏡検査の受診率への影響を評価するRCTを実施した。
結論
985名が登録され、うち967名が治療意図解析に含まれた。
大腸内視鏡検査の受診率は介入群55.1%、対照群42.1%と、患者ナビゲーションによって有意に向上した(リスク差 13.0パーセントポイント)。
評価
ラテン系住民の多い地域を含むこのプログラムでは、バイリンガルスタッフによる地域ごとにカスタマイズされた電話ベースの患者ナビゲーションにより、便潜血陽性後の内視鏡検査の受診率が向上した。
精検回避は日本の対策型検診においても重要な課題となっており、アウトリーチのヒントとなる知見であろう。