世界の小児の持続性高血圧有病率は3.89%:初の系統レビュー・メタアナリシス
Global Prevalence of Hypertension in Children and Adolescents Younger Than 19 Years: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
小児高血圧(HTN)は成人高血圧や早期の標的臓器障害(TOD)を予測するため、世界的な有病率推定が重要であるが、診断基準の違いを考慮したデータが不足している。
中国Kunming Medical UniversityのRuanらは、19歳未満の小児・青年3,609,665名を対象とした271研究を解析する系統レビュー・メタアナリシスを行った。
一次アウトカムは、小児高血圧であり、持続性高血圧と一次性高血圧(1回のスクリーニング訪問の血圧測定による初期診断)に分類された。
結論
持続性高血圧の有病率は3.89%、一次性高血圧の有病率は11.85%であった。2006〜2021年にかけて持続性高血圧は年間7.20%、1987〜2022年にかけて一次性高血圧は年間0.33%の増加傾向が認められた。また、過体重または肥満の小児および青年は、高血圧のリスクが有意に高かった(持続性高血圧で過体重6.79%、肥満16.35%に対し、正常体重2.57%)。
評価
この主題に関する初の大規模な系統レビュー・メタアナリシスである。小児高血圧の有病率が診断方法(単回測定か複数回測定か)によって大きく異なることを明確に示したこの知見は、小児高血圧の正確な診断には複数回の測定が不可欠であることを強調しており、臨床実践に直接的な影響を与える。
また、肥満と過体重が小児高血圧の有病率に大きく影響していることも改めて示した。これは、小児高血圧が世界的な公衆衛生上の懸念となっており、健康的なライフスタイルを促進するための介入の必要性を示している。地域差や社会経済指標による有病率のばらつきも示されており、今後の予防戦略の策定において考慮すべきデータとなる。研究間で診断定義にばらつきがあったという限界を指摘し、将来における、より厳格な測定プロトコルを用いた、より堅牢な集団ベースの研究を呼びかける論文である。

