月1回投与の新規肥満治療薬MariTideは有望:MariTide Phase 2 Obesity
Once-Monthly Maridebart Cafraglutide for the Treatment of Obesity−A Phase 2 Trial
背景
新規肥満治療薬Maridebart cafraglutide(MariTide)は、GLP-1受容体アゴニスト作用とGIP受容体アンタゴニスト作用を組み合わせた長時間作用型ペプチド抗体複合薬である。
アメリカYale UniversityのJastreboffら(MariTide Phase 2 Obesity)は、肥満および2型糖尿病(T2DM)を伴う肥満患者592名をMariTide多用量またはプラセボに割り付け、有効性・安全性を評価する第2相RCTを行った。
一次エンドポイントは、ベースラインから52週までの体重変化率であった。
結論
一次エンドポイントは、肥満コホートでは、MariTide群−12.3%から−16.2%であったのに対し、プラセボ群では−2.5%であった。肥満T2DMコホートでは、MariTide群の体重変化率が−8.4%から−12.3%であったのに対し、プラセボ群では−1.7%であった。このコホートでは、MariTide群でHbA1cが−1.2から−1.6ppt減少した(プラセボ群では0.1ppt増加)。消化器系有害事象(悪心・嘔吐・便秘など)はMariTide群で一般的に認められたが、用量漸増法を用いた場合や低用量から開始した場合には発生頻度が低かった。予期せぬ安全性シグナルは認められなかった。
評価
Amgen開発による次世代二重作用薬である。類縁薬ではすでにtirzepatideが承認されているが、GLP-1+GIP二重アゴニストであり、MariTideはGIP受容体に対してはアンタゴニストで、ユニークである。月1回投与でこれほどの体重減少と血糖改善が得られた点が注目に値し、第3相が期待される。なお、次世代薬では、GLP-1+Glucagon、Amylin+Calcitonin等が開発中で、三重アゴニスト(GLP-1+GIP+Glucagon)も探求されており、競争は激しい。