通信指令員によるバイスタンダーへの励ましは心肺蘇生パフォーマンスを改善する
Effect of different intervals of verbal motivation during dispatcher-assisted CPR: A randomized controlled simulation trial
背景
院外心停止(OHCA)において、バイスタンダーに対する通信指令員の口頭指導は、心肺蘇生の実施率を向上させ(dispatcher‐assisted CPR: DA-CPR)、生存率向上をもたらしている。さらにいくつかの研究は、通信指令員よる口頭指導プロトコルを変更することでCPRの質がさらに改善される余地があることを報告している。
ドイツRWTH Aachen UniversityのGehlenらは、159名の医療従事者を3つの試験群へとランダムに割り付け、8分間のCPRシミュレーションを行う研究を行い、通信指令員による動機付けの言葉がCPRの質に及ぼす影響を評価した。
比較された介入は、グループ1) 標準的指示によるDA-CPR(対照)、グループ2) DA-CPR+30秒ごとの動機付けの言葉(「もっと強く」「力を緩めないで」など)とメトロノームの音、グループ3) DA-CPR+60秒ごとの動機付けの言葉とメトロノームの音、の3種であった。
結論
CPRの平均圧迫深度は、42.9 mm、グループ2で48.1 mm、グループ3で51.7 mmと、グループ1よりもグループ3で有意に深かった。
十分な深度(50-60 mm)での圧迫割合は、それぞれ8.2%、20.6%、19.1%と、グループ2、グループ3で有意に改善した。圧迫速度(/毎分)の中央値は、それぞれ85.7回、109.1回、109.1回と、グループ2、グループ3で有意に向上した。
評価
指令員による励ましの言葉はCPRの質の向上につながった。頻繁すぎる声かけでは効果が弱まるように見えた点も含め、直感と一致する結果であろう。
バイスタンダーCPRでは適正な深さの圧迫が達成されづらいとされており、指令員の言葉によってこれを改善できるという知見には大きな意義がある。