急性胃腸炎小児への帰宅後オンダンセトロンは有益
Multidose Ondansetron after Emergency Visits in Children with Gastroenteritis
背景
オンダンセトロンは、急性胃腸炎の小児患者に投与することで輸液量や入院リスクを低下させることが知られており、アメリカの救急外来で最も一般的に処方される薬となっている(日本では抗悪性腫瘍剤投与または術後の悪心・嘔吐が適応)。ただ、救急外来からの退院後にオンダンセトロンを投与することの利点は明確化されていない。
カナダUniversity of CalgaryのFreedmanらは、同国6ヵ所の三次救急の小児救急外来において、急性胃腸炎に伴う嘔吐を呈する6ヵ月から18歳の小児患者を対象としたランダム化優越性試験を実施した(n=1,030)。対象患児の保護者に対して、6回分のオンダンセトロンまたはプラセボを処方し、登録後7日間の中等度/重度の胃腸炎(修正Vesikariスコアが9以上)について比較された。
結論
中等度/重度の胃腸炎は、オンダンセトロン群の5.1%、プラセボ群の12.5%で発生した(未調整リスク差 -7.4%ポイント)。施設、体重などを調整後にも、オンダンセトロンは中等度/重度の胃腸炎のリスク低下と関連した(調整済みオッズ比 0.50)。
嘔吐の有無や、嘔吐の持続時間(中央値)には有意な群間差は認められなかった。登録後48時間以内の嘔吐エピソード数はオンダンセトロン群で低下した(0.76)。予定外の医療受診、静脈内輸液、さらに有害事象の発生率にも群間差は認められなかった。
評価
日本では適応がないが、アメリカでは日常的な処方とされる。
本試験では、退院時に処方されたオンダンセトロン投与により、小児患者の胃腸炎が有意に軽減され、エビデンスが慣行を追認する形となった。


