切除可能胃がんの周術期FLOT化学療法にデュルバルマブ上乗せが有効:MATTERHORN試験
Perioperative Durvalumab in Gastric and Gastroesophageal Junction Cancer
背景
フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセルによる周術期FLOT化学療法は、切除可能な局所進行食道腺がんにおける再発抑制を実証しており、アジア以外での標準治療となっているが、依然として再発率は高く、さらなる治療革新が求められている。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer Center and Weill Cornell MedicineのJanjigianら(MATTERHORN)は、世界20ヵ国147施設で切除可能な胃がん・食道胃接合部がん患者を登録し、術前・術後各2サイクルのFLOT療法に加えて、デュルバルマブまたはプラセボの投与を割り付け、無イベント再発率・その他のアウトカムを比較する第3相RCTを実施した。
結論
2年無イベント生存率は、デュルバルマブ群で67.4%、プラセボ群で58.5%であった(ハザード比 0.71)。
2年生存率はそれぞれ75.7%、70.4%であり、12ヵ月までの区分ハザード比は0.99であったのに対し、12ヵ月以降では0.67であった。病理学的完全奏効はデュルバルマブ群の19.2%、プラセボ群の7.2%で認められた(相対リスク 2.69)。
評価
日本からも参加した第3相検証において、周術期FLOT療法へのデュルバルマブ追加が無イベント生存率の改善をもたらした。
進行・再発胃がんでの有効性と比して、周術期での免疫チェックポイント阻害薬追加のベネフィットはこれまで明確ではなく、この試験の有効結果は大きな意義がある。欧米では新たな標準治療となるだろう。