アメリカでのHospital Readmissions Reduction Program導入の帰結は
Readmission and Mortality After Hospitalization for Myocardial Infarction and Heart Failure
背景
アメリカでは、急性心筋梗塞(AMI)や心不全(HF)後の再入院率を減らすためのHospital Readmissions Reduction Program(HRRP)が2012年に導入された。カナダSunnybrook Health Sciences CentreのKoらは、同種のプログラムが導入されていないカナダ オンタリオ州でのAMI・HF後の再入院率と比較検討した。コホートは2006〜2017年にAMI・HFで入院した患者(65歳以上)で、一次アウトカムは退院後30日時点での再入院・死亡である。
結論
AMI患者は152,808名、HF患者は223,283名であった。AMIのリスク調整後再入院率は17.4%から14.7%に低減、同死亡率は5.1%から4.4%に低減した。HFのリスク調整後再入院率は21.9%から20.8%に、リスク調整後死亡率は7.1%から6.6%に低減した。
評価
著者らの結論は、「カナダのAMI後再入院・死亡率のトレンドはアメリカと同じだが、HFに関しては再入院の低減が少ない一方死亡率はアメリカより低い」ということである。HRRPは再入院回避にインセンティブを与えるものだが、HF管理には差異をもたらしており、悪影響である可能性もある。


