学校に救急車が来るのはどんなとき?:アメリカ調査
Emergency Medical Services Responses to School-Based Medical Emergencies
背景
教育現場においても、学校内やその管理下で生じた児童・生徒の傷病に対して救急要請が検討される場合がある。
アメリカAnn & Robert H. Lurie Children's Hospital of ChicagoのHarriesらは、National EMS Information System(NEMSIS)のデータを用いて、学校における5〜17歳の児童に対する救急医療サービス(EMS)対応を分析し、その特性を記述した。
結論
学校へのEMS対応は506,573件あり、これは小児でのEMS出動の11.3%を占めており、大半のケース(69.1%)では病院搬送が行われた。
Diagnostic Grouping Systemによる分類では、神経疾患が19.1%と最も多く、精神疾患/薬物乱用(16.7%)、外傷(15.0%)が続いた。小学校の年代では外傷が最も多く(17.5%)、それ以上の年代では精神疾患/薬物乱用が最も多かった(18.6%)。
介入として心機能評価(20.1%)、血管アクセス(17.4%)が多く実施され、薬剤では鎮痛薬(4.1%)、サルブタモール(2.7%)、抗てんかん薬(1.5%)が最も多く投与された。
評価
50万件のデータから学校へのEMS出動の疫学を明らかにした。メンタルヘルスと薬物乱用が多くを占め、EMSによる様々な介入が行われるなど、アメリカ固有の実態を捉えている。
学校における傷病の初期対応および救急要請の運用を最適化するためにも、日本でも同様の包括的データが望まれる。