血栓除去術を予定しない血栓溶解療法後の脳梗塞患者にTirofibanが有効:ASSET-IT試験
Early Tirofiban Infusion after Intravenous Thrombolysis for Stroke
背景
血栓溶解療法の登場により急性虚血性脳卒中のアウトカムは大きく改善したが、さらなる改善の余地は残されているのか。
中国University of Science and Technology of ChinaのTaoら(ASSET-IT)は、同国38施設で、血栓除去術の適応とならない非心原性の急性虚血性脳卒中患者を、血栓溶解療法後60分以内のtirofiban(糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害薬)、またはプラセボの投与へと割り付け、機能的良好アウトカム(修正ランキンスケールが0-1)について比較する第3相RCTを実施した(n=414)。
結論
血栓溶解療法としては患者の75%がアルテプラーゼ、25%がtenecteplaseを受けていた。
90日時点での機能的良好アウトカム率は、tirofiban群で65.9%、プラセボ群54.9%と、tirofibanによって有意に改善した(リスク比 1.20)。
症候性頭蓋内出血は、tirofiban群では1.7%に発生したのに対し、プラセボ群では1件も発生しなかった。90日死亡率はtirofiban群4.1%、プラセボ群3.8%であった。
評価
糖タンパクIIb/IIIa阻害薬では最近、MOST試験のeptifibatideが無効結果となっていたが(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2314779)、非心原性で血栓除去術の適応のない患者に絞ったこのASSET-IT試験では、tirofiban群での機能的良好アウトカム増加が認められた。
ただ、この結果が中国外でインパクトを持つためには、再現性の確認が不可欠だろう。