前立腺全摘除後のPSA評価は3ヵ月待った方が良い?
Persistent Prostate-Specific Antigen Following Radical Prostatectomy for Prostate Cancer and Mortality Risk

カテゴリー
がん
ジャーナル名
JAMA Oncology
年月
May 2025
11
開始ページ
502

背景

根治的前立腺全摘除術(RP)の後、前立腺特異抗原(PSA)が検出限界以下に低下しない場合、生化学的再発とみなされる。ただし、術前のPSA値が高い患者では検出限界以下への低下に時間を要する可能性があり、PSA持続を判断するのにどれくらいの期間が適切かは未解決の問題であった。
ドイツUniversity Hospital Hamburg EppendorfのTilkiらは、1992年から2020年に2つの学術施設でRPを受けたT1-3/N0/M0の前立腺がん患者を対象として、PSAレベルの持続を正確に記録するために必要な期間を評価し、さらにPSA持続と前立腺がん特異的死亡・全死亡リスクとの相互作用を評価するコホート研究を実施した。

結論

発見コホートには30,461名、検証コホートには12,837名が含まれた。
術前のPSAが高い(20 ng/mL超)場合、PSAの持続は、検出限界以下の場合と比して低い全死亡リスク(調整ハザード比 0.69)、前立腺がん特異的死亡リスク(0.41)と関連した。前立腺体積について調整後にも、また検証コホートでも同様であった。
このことは、術前のPSAが高い患者では、PSA評価までの時間を開けることで、検出限界以下へと低下する可能性が高かったという推定を可能にする。
また、術前のPSAが高い患者では、術後アンドロゲン遮断療法±放射線治療の利用頻度が高く、期間は短かった。

評価

術前PSAが高い患者で、早い段階のPSA評価によりPSA持続が早まって判断され、過剰な治療を引き起こしている可能性を示唆した。
PSAレベルの評価について術後3ヵ月目まで待つことを強調するデータで、3ヵ月ごとが標準的プロトコルとなっている日本の実践と一致する。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)