局所進行切除不能膵がんの化学療法にTTFields追加でOS延長:PANOVA-3試験
Tumor Treating Fields With Gemcitabine and Nab-Paclitaxel for Locally Advanced Pancreatic Adenocarcinoma: Randomized, Open-Label, Pivotal Phase III PANOVA-3 Study
背景
膵がん患者の多くは発見時に進行した状態にあり、様々な新規治療が提案されているものの、その予後は依然として極めて不良である。腫瘍治療電場(Tumor Treating Fields [TTFields])療法は、トランスデューサーアレイを用いて標的領域に非侵襲的に形成される交流電場により、がんを治療するもので、膠芽腫をはじめ、いくつかの腫瘍タイプにおいて有効性を示している。
アメリカMayo ClinicのBabikerら(PANOVA-3)は、新たに診断された切除不能な局所進行膵腺がん患者に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル治療に、TTFieldsの併用/非併用を割り付け、全生存期間などを比較する第3相RCTを実施した(n=571)。
結論
全生存期間の中央値はTTFields併用群で16.2ヵ月、非併用群で14.2ヵ月と、併用により有意に延長した(ハザード比 0.82)。
無増悪生存期間、局所無増悪生存期間、全奏効率は改善しなかった。無痛生存期間(pain-free survival)の中央値は、TTFields併用群で15.2ヵ月、非併用群で9.1ヵ月(ハザード比 0.74)、遠隔無増悪生存期間は各群13.9ヵ月、11.5ヵ月(ハザード比 0.74)と、ともにTTFields併用群で延長した。
TTFields併用群の76.3%が、デバイス関連の皮膚有害事象を経験したが、大半は軽度・中等度であり、グレード3の報告は7.7%であった。
評価
標準的な一次化学療法にTTFieldsを追加することで、OSの有意な延長が認められた。
長時間(1日18時間以上)のデバイス装着が必要なことは大きなネックだが、本試験では疼痛やQOLの改善も認められており、局所進行切除不能膵がん患者における新しい治療選択肢となりうる。
現在、切除不能膵がんでさらにアテゾリズマブを追加するPANOVA-4試験(NCT06390059)や、体幹部定位放射線(SABR)とTTFieldsの併用を検討する第2相試験(NCT05679674)もスタートしている。