心房細動を伴う急性期脳梗塞でのDOAC抗凝固療法は早期開始がよい:メタ解析
Collaboration on the optimal timing of anticoagulation after ischaemic stroke and atrial fibrillation: a systematic review and prospective individual participant data meta-analysis of randomised controlled trials (CATALYST)
背景
心房細動を伴う虚血性脳卒中患者では、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)による再発予防が有効性を確立している。ただし、DOACによる抗凝固療法を検証した臨床試験の多くでは、出血性リスクの懸念により最近発症の虚血性脳卒中患者が除外されきたことから、早期DOACの至適な開始タイミングについては不明であった。
イギリスUniversity College LondonのDehbiらは、心房細動を伴う急性虚血性脳卒中患者を対象として、承認用量のDOACの早期開始(4日以内)と後期開始(5日以上)を比較したランダム化比較試験を検索し、再発・出血について評価するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
TIMING試験、ELAN試験、OPTIMAS試験、START試験の4件が特定され、5,441名が患者個別データのメタアナリシスに含まれた。
一次複合アウトカム(30日以内の再発性虚血性脳卒中・症候性脳内出血・分類不能脳卒中)の発生率は、早期DOAC群で2.1%、後期DOAC群で3.0%と、早期DOAC群で有意に減少した(オッズ比 0.70)。
アウトカム別では、早期DOACは再発性虚血性脳卒中のリスクを低下させたいっぽうで(1.7% vs. 2.6%, オッズ比 0.66)、早期DOACによる脳内出血の増加は認められなかった(0.4% vs. 0.4%, オッズ比 1.02)。
評価
心房細動を伴う急性虚血性脳卒中患者では、早期からのDOAC開始により、脳内出血を増加させることなく、再発リスクが低減した。
日本でも最新のガイドラインが発症早期のDOACを妥当としており、早期開始がスタンダード化していくだろう。


